初めてお店を出す人が、ショップ計画で欠かせないこと。ここを重視して立案するとショップがうまく動くと思われること。個人がショップ経営をする前に知っておきたい内容を考えていきます。
今回は、ショップの環境について。個人がショップを出そうとした時、機会をどう捉えたらいいのか、自分の強みをどのように生かしたらいいのか、考えます。
1.環境を活かす
⬛︎ショップは植物
ショップを計画する時は、立地が気になるのではないでしょうか。
自分がやりたいショップに立地が適しているか心配になります。
実店舗をもつ小売業は植物に似ています。
植物は植えられた土壌や育ってゆく周辺の様子に強く影響されます。
その上、環境が自分に適さないとしても、動物と違い別の場所に移動することも簡単ではあ
りません。 ショップも同じように立地環境の影響を強く受けます。
⬛︎多様な要素からなる環境
そのようなわけで、立地に関心が集まります。しかし立地は環境の一部です。
立地以外にもショップに影響する環境はたくさんあります。
経済状況や流行なども環境です。外部的なことだけではありません。
従業員の質やオーナー自身の個性もショップにとっては環境です。
一般には私たちは環境というと自分以外のことを指すことが多いような気がします。
例えば地理的な環境や天候などです。
しかし人間の場合は、自分の体の中は体内環境といいます。
自分の体も環境なわけです。
そう考えると、ショップの内部のこともショップにとっては環境の一つになります。
環境に含まれることは多様です。
その環境にショップは適応して成り立ち、
環境の特性を活かすことで成果を上げてゆきます。
今回は環境の活かし方を考えます。
2.ショップ計画での位置
⬛︎目的目標とコンセプトの間に
ショップを行うのは何か目的があるはずです。
自分は何のためにショップを行うのか、そのショップから得る内容を明確にします。
これが目的の明確化です。
目的を実現する目安として目標があります。
目的や目的に至る過程を客観的な指標で示すのが目標です。
期限と数値で示すことが多いでしょう。
目的の実現に影響を与えるのが環境です。
そこでショップを計画するために環境を分析することになります。
図表1(上記)を見てください。
ショップ計画の中で目的と目標の矢印を受けて、環境分析があります。
その環境分析を受けて、コンセプトやマーケティングミクスの計画に至ります。
コンセプトではショップの基本的な考え方を示し、マーケティングミクスでは商品や値段、
ショップのつくり、アピールの仕方を計画します。
ここではショップ計画の流れを確認するにとどめ、
コンセプトやマーケティングミクスはまた別にあつかいます。
今回は環境分析です。
目的の下で環境分析を行うことが、コンセプトやマーケティングミクスなどの具体的な作業
につながることを確認してください。
⬛︎環境分析は必要か
個人がショップを開業するのに、
環境分析などという大げさな作業をする必要があるのだろうか。
こんな疑問も生じます。立ち飲み屋をやろう。
気軽に仲間がワイワイできる場所が欲しい。
串揚げが流行っているが、餃子も受けそうだ。餃子を出そう。
人が集まって、焼酎やホッピーを飲みながら楽しくできたらいい。
座りたい人もいるだろうから、ビンケースや魚箱に板を並べればいい。
店の看板は近くの飲み屋で知り合った書道家の先生に任せている。
近くに大学ができて、大学生が増えた。彼らを相手に飲み屋を開けば、
マーケティングだの、環境分析だの、面倒なことはしなくてもやっていける。
このように考えたZさんがいました。
Zさんは地元っ子で、街の情報網は大変なものです。
酒好きで街中の飲み屋に顔が利きます。
Zさんのような考え方でもショップはうまくいくかもしれません。
Zさんが残念なのは、自分がしていることが環境分析だという認識がないことです。
Zさんのような考えを丁寧に確かめ、整理するのが環境分析なのだという
理解がないことです。彼がやっていることも、環境分析です。
大学がオープンした機会を捉えよう。餃子が流行りそうだ。ホッピーは人気があるし、ホッ
ピーの会社は営業マンも親切らしい。ビンケースや魚箱のラフなテイストが受けるだろう。
筆文字の質感も行けそうだ。Zさんはこのように考えたのです。
しかし、もうすこし調査や整理をして、全体としてツジツマが合うかを考えた方がいいよう
に思います。
環境分析という筋道を立てて考えると課題が見えてくるのではないでしょうか。
⬛︎時代の価値観や流行も環境
もう一つ問題があります。彼は分析的に考えなくても、感性が豊かで時代感覚は優れている
かもしれません。
自分の時代感覚に自信があるのかもしれません。
しかしその感性は鈍ることなく、いつでも当たるのでしょうか。
私たちは時の流れの中にいます。今日、自分の感性が時代と同調していてビジネスが成功し
たからといって、明日、時代の流れに遅れていないという保証はありません。
時代の価値観や流行も環境の一つです。自分の感性を大切にしながらも、自分の価値観やセ
ンスも対象とした、客観的な視点で環境を見ることも必要なのではないかと思います。それ
が環境分析の必要なもう一つの理由です。
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